断熱性能がもたらす健康被害とは?暖かい家を作る方法
公開日:2023/11/15 最終更新日:2023/09/21
近年、断熱性能が高い住宅が注目されています。外気温の影響がないので、エアコン代の節約ができてお得です。注文住宅を建てる際は、検討してみるとよいでしょう。また、断熱性能が低い場合のデメリットも把握すると、家づくりの優先順位が考えやすくなります。ここでは、断熱性能の重要性を解説しているので、注文住宅を建てる方に必見です。
断熱性ってなに?重要視される理由
断熱性が高い住宅は、建材の効果により熱伝導率を穏やかにしています。そのため、外気温の浸入を防ぎ、室温も逃がしません。年間を通して室内はとても快適です。ここでは、断熱性のメリットを解説しています。
温度差がない
通常の住宅は、1年を通して部屋ごとに温度差が生じます。1階と2階、廊下やトイレなど、エアコンの有無で大きく変わるでしょう。しかし、断熱性能がある場合、住宅が丸ごと均一した気温になります。部屋を移動しても不快感がないので、夏・冬はとくに価値を感じるでしょう。
エアコン代を節約できる
外気温の影響が少なくなるので、エアコン代の節約が可能です。温度設定を控えめにしても、きちんと効果があるので頼りになります。さらに、一度調整された気温は長時間保つので、エアコンの運転時間を減らせます。厳しい暑さ・寒さも、安心して過ごせるでしょう。
きれいな空気を循環する
断熱性能がある住宅には、換気システムが搭載されています。そのため、きれいな空気が常に循環しています。また、住宅自体に無駄なすき間がないので、きれいな空気が逃げることもありません。ほこりや花粉などが室内にこもらないので清潔に過ごせます。
住宅への負担を減らい
断熱性能がある住宅は、結露やカビが発生しにくくなっています。そのため、住宅全体を傷める心配がありません。小さなことですが、住宅の寿命を長くすることに役立っています。
断熱性が低い家で起きる健康被害
住宅の断熱性が低いことのデメリットは多々あります。とくに健康被害に関わることなので充分に注意しましょう。ここでは、よくあるトラブルを紹介しています。誰しもに起きる可能性があることなので、慎重な判断が必要です。
ヒートショックの危険性
冬場に部屋が寒すぎると、身体の表面はもちろん、内臓まで冷えるので免疫力が下がります。また、室温を高く保っていても、急に寒い部屋に移動したときに身体へ負担がかかります。
急激な温度差は血圧を変動させるため、脳梗塞や心筋梗塞をまねき危険です。このような、温度差による心臓や血管への影響をヒートショックと呼びます。とくに、リビングから移動して、入浴するときにヒートショックが起きやすいとされています。
脱衣場の寒さと、衣服を脱ぐ行為で一気に身体が冷えることが原因です。断熱性能により、リビングと脱衣所の温度差を無くすことで命を守ります。
アレルギー症状
冬場に室内を暖めることで、窓の結露は避けられません。そして、湿度がたまるのでカビやダニにとって好都合な環境を作り上げます。具体的には湿度が65~70%以上になると、カビとダニが繁殖しやすく注意が必要です。
目には見えませんが、家じゅうに蔓延するでしょう。そこから、アレルギー症状が起きる可能性が高くなります。喘息やアトピー性皮膚炎、目のかゆみと、さまざまな健康被害が発生するので油断できません。
断熱性が高い家を作るには?
断熱性は住宅作りにとても重要ですが、具体的にこだわるポイントを理解しましょう。ここでは、取り入れるべき材料や設備を紹介します。
断熱材の選び方
断熱性に一番重要なことは、断熱材選びです。断熱材は大きく分けて2種類があり、
繊維系断熱材
ひとつは『繊維系断熱材』といって、繊維を凝縮して塊を作ったものです。繊維間に空気を閉じこめているので、断熱効果を発揮します。綿のように柔軟なガラス繊維が使用されており、耐久性と燃えにくいことがメリットです。
また、長持ちするうえにコストも安いので人気があります。デメリットとしては耐水性が低いので、防湿シートをプラスで貼るとよいでしょう。
発泡プラスチック系断熱材
ふたつめは『発泡プラスチック系断熱材』です。プラスチックの中に気泡を閉じこめて、断熱効果を出しています。プラスチックといっても、施工は泡状のものを壁に吹き付けるので、細かい場所にすき間を作りません。
メリットは断熱性・耐水性ともに高いことです。また、防音性能もあるので生活音に敏感な方にはよいでしょう。デメリットはコストが高いことと耐熱性が低いことです。
また、施工技術が無い業者がおこなうと、吹き付けのムラが出て機能が劣ることもあります。どちらが家庭にとって適しているか、慎重に判断しましょう。
断熱工法
木造住宅の断熱性を高めるには、2つの工法があります。
ひとつは『内断熱工法』で、柱など基礎の間部分に断熱材を設置します。ふたつめは『外断熱工法』で、基礎の外側に断熱材を貼り付ける方法です。いずれの方法でも断熱性能は変わらないので、コストに応じて選ぶとよいでしょう。
また、両方の工法を合わせて施工すると断熱性は高まります。予算に余裕があれば検討してみましょう。
窓ガラスの工夫
壁面が断熱素材になっていても、窓を通して外気温は侵入します。そのため、窓ガラスの工夫が必要です。断熱性の高い窓ガラスやサッシが存在するので、取り入れることをおすすめします。
窓ガラスは特殊金属が表面コーティングされた『エコガラス』であれば、熱の吸収や反射に効果的です。また、結露がしにくいこともメリットです。
そして、サッシは樹脂製が断熱性を高めるので検討してみましょう。通常はアルミ素材ですが、熱伝導しやすい特徴があります。そのため、夏の外気が侵入しやすく、冬の暖房が外に逃げやすくなります。
とくに、家族が集まるリビングは大きな窓があるので意識が必要です。
まとめ
注文住宅を建てる場合、外観や設備などに意識がいくでしょう。しかし、住み心地を考えると断熱性はとても重要です。長年住むなかで、快適さと健康は価値あるものになるでしょう。とくに奈良は、暑さと寒さが厳しい地域です。外気温からの影響が少なくなると、ストレスのない生活になります。ぜひ、断熱性能に優れた住宅にしてみてはいかがでしょうか。家族全員の豊かな暮らしが手に入ります。